ひょうご広葉樹を使いたい!

秋も深まり、あっと言う間に冬の到来となりそうな、裏六甲の加東市でありますが、工場から神戸に抜ける六甲山は、とても綺麗な紅葉となっています。この六甲山や兵庫県の山々には、広葉樹が沢山あり、広葉樹の有効活用で、地域活性化を取り組む行政の活動も活発化しつつあります。宮下木材でも県産木材を利用して何か貢献できないかと、ひょうごの木製品マイスターに登録したりして、ものづくりを模索しています。

日本において、広葉樹は一部で加工材料として利用されつつも、一般的には針葉樹が主流。これは、木材の特性に起因しています。針葉樹は強度があり加工しやすいため、建築や家具など広く使用されています。また、日本の木工技術や文化が主に針葉樹に基づいており、伝統的な技術や職人のノウハウが蓄積されていて、さらに、日本の森林経営においても針葉樹が優先され、広葉樹の供給にはまだまだ課題があるのです。需要や好み、文化的背景が影響し、針葉樹が木材としての主力となっているわけなのですが、昨今、SDGsの概念から広葉樹も新たな利用法に対する関心が高まっており、宮下木材でも、いろいろ模索しているのです。そこで、これ。


ナラ、アカシア、クヌギの色柄違いを組み合わせて、接着したもの。工場長が、試しに作ったものなのですが、何か未来を感じる端材です( *´艸`) 宮下木材では広葉樹の利用に向けて実験を進めています。しかし、乾燥時にねじれやひび割れが発生し、長いものの製作が難しいため、細いものを組み合わせて試作品を作成したわけです。くぬぎやアカシアの柄を巧みに組み合わせており、手間はかかりますが、非常におしゃれな仕上がりとなっています。上写真のような独自のデザインが実現でき、新たな材料利用の可能性をうまれるとよいのですが…

広葉樹がものづくりに適していないとされる理由はいくつかあります。

繊維の分散と不均一性: 広葉樹の木材は通常、繊維が分散しており、繊維の方向が一様でないことがあります。これにより、木材が均一ではなく、切削や削り出しの際に不均一な反応を示すことがあります。

粘着物質の存在: 広葉樹には通常、樹脂や粘着物質が含まれています。これが木材加工工具の刃を早期に摩耗させることがあり、作業の効率を低下させる可能性があります。

乾燥の難しさ: 広葉樹の木材は、通常、適切な乾燥プロセスが必要です。適切な乾燥が行われないと、木材が割れやねじれを起こしやすくなります。

硬度の不均一性: 広葉樹の木材は種によって硬度が異なり、均一な硬度を持っているわけではありません。これが一部の用途において好ましくない結果をもたらすことがあります。

このような理由から、広葉樹よりも針葉樹の木材が選好されることがあります。針葉樹は木目が均一で、硬度が比較的一様であるため、ものづくりにおいて扱いやすいとされているのです。ただし、具体的な用途によっては、広葉樹が適していることもあります。

しかし、外国では、広葉樹を多く利用してモノづくりをしています。ここで日本との違いを考えてみました。

海外では、広葉樹を使ったものづくりが一般的に行われています。これにはいくつかの理由があります。

種類の豊富さ: 広葉樹は多くの種類が存在し、それぞれ異なる特性を持っています。一部の広葉樹は非常に硬く、美しい木目を持っており、高級家具や床材などに利用されます。例えば、オークやウォールナットなどは高品質な木材として広く利用されています。

美的な特性: 広葉樹の木材は美的な特性が高く、木目が豊かであることがあります。これが家具や内装などでの利用に適しているとされ、デザイン性が重視される分野で重宝されています。

彫刻や木工芸術: 広葉樹は彫刻や木工芸術などの手仕事に適しているとされています。そのため、木工芸や彫刻アートなど、職人技が要求される分野で頻繁に使用されます。

地域ごとの好みと需要: 木材の好みや需要は地域によって異なります。一部の地域では広葉樹が好まれ、その需要がものづくりの主流となっています。

技術の進歩: 木工加工技術や木材の乾燥技術などが進歩したことで、広葉樹の利用がより効果的に行えるようになりました。これにより、広葉樹を用いたものづくりがより効率的に行われています。

総じて、広葉樹が使われる背後にはその特性に対する需要、デザイン的な魅力、技術の進歩、地域ごとの文化的要因などが影響しているようです。

広葉樹の加工において、海外生産と日本の生産の違いはいくつかの点で見られます。

日本と海外では一般的に使用される木材の種類が異なります。例えば、日本ではヒノキやスギなどの針葉樹が一般的に使われますが、欧米ではオークやウォールナットなどの広葉樹がよく利用されます。これが、製品の特性や用途に影響を与えることがあります。また、木材の日本の木工技術は独自の発展を遂げており、伝統的な木工技術が今でも一部で重要視されています。一方で、海外では最新の木工加工技術や機械を導入し、より効率的な製造が行われています。他にも、 日本と海外では環境基準や木材認証制度が異なることがあります。海外ではFSC(森林管理協議会)などの認証が広く受け入れられ、環境に配慮した木材の使用が求められているのです。

生産コストと価格競争でも、海外生産では一般的に生産コストが低い傾向があり、これが製品価格に影響を与えます。一方で、日本の製品は高品質であり、独自の技術やデザイン性が付加価値として重視されることがありますが、価格競争で海外の製品が使われることが多かったわけです。しかし、ウッドショック以降、国産の傾向が変わりつつあるのです。

だからこそ今、真剣に広葉樹の利用方法を宮下木材は考えていきたいと考えるわけです🌞

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